プロレス界には数多くの団体が存在しますが、その中でも特に革新的なアプローチで注目を集めているのがアメリカを拠点とし、日本をはじめ国際的なファンを持つプロレス団体GCW(Game Changer Wrestling / ゲーム・チェンジャー・レスリング)です。
その名の通り、プロレスの「ゲームを変える」ことを目指しています。本記事では、GCWの概要を随時まとめていきます。
GCW(ゲーム・チェンジャー・レスリング)を構成する要素
革新的な試合スタイル
GCWは、ハードコアやデスマッチ、ルチャリブレなど、伝統的なプロレスの枠を超えた多彩な試合スタイルを展開しています。これによって、さまざまなプロレスファンがGCWのショーに惹きつけられます。
多様性と包括性
GCWのリングでは、さまざまなバックグラウンドを持つレスラーが技を競い合います。技巧派の対戦、女性レスラーの目覚ましい活躍、LGBTQ+コミュニティの代表者の参加など、多様性と包括性に富んだショーが展開されています。これにより、様々な背景を持つファンがGCWに魅了されています。
グローバルな活動
GCWはアメリカ国内だけでなく、日本やメキシコなど国外でもイベントを開催し、国際的な活動を広げています。これによって、世界中のプロレスファンにGCWの名前が知られるようになりました。
コミュニティ主導のイベント
「The Collective」のようなイベントは、他のプロモーションとのコラボレーションを特徴としてます。このコラボレーションによりそこで生まれた熱が活性化し次の展開へと広がってきます。またこのイベントには日本やその他の国からも様々な選手が参戦します。
GCWの歴史
JCW(ジャージー・チャンピオンシップ・レスリング)時代
JCW(ジャージー・チャンピオンシップ・レスリング)は、リッキー・オタズ(リングネーム:リッキー・オー)としても知られるインディーレスラーによって、1999年1月にニュージャージー州で創立されました。以下がリッキー・オタズ氏です。
2000年1月29日に、ニュージャージー州リンハーストで初めての興行を成功させました。JCW(ジャージー チャンピオンシップ レスリング)が開催しているジャージーJ カップは、JCWによって 2000 年に設立されました。
翌年、ナショナル レスリング スーパースターズのプロモーター、ジョー・パンザリーノがこのトーナメントの権利を購入しました。JCWは、2004年にライバル団体であるナショナル・レスリング・スーパースターズ(NWS)に買収されるまで、興行を開催していました。
2004年にJCWは解散し、その権利はナショナル・レスリング・スーパースターズ(NWS)によって買収されました。JCWの名前やトーナメントは、NWSのもとで継続され、JCWの運営はNWSに引き継がれました
その後、2014年4月にJCWはノース・バーゲンに自身のトレーニングスクールを開設しました。同年末よりJCWはジャージーJカップの主催者として再スタートをしました。
2015年:GCW(ゲーム・チェンジャー・レスリング)としてリブランディング
2015年6月、JCW(ジャージー チャンピオンシップ レスリング)は、ブレット・ローダーデールとダニー・デマントにより買収され、GCW(ゲーム・チェンジャー・レスリング)としてリブランドされました。(ダニー・デマントは2019年で共同オーナーとしての役割を辞めました。)
GCWは、『ニック・ゲイジ・インビテーショナル・ウルトラバイオレント・トーナメント』、『トーナメント・オブ・サバイバル』など、様々なインディペンデント・レスラーをフィーチャーしたトーナメントを開催し知名度を高めました。
2017年3月、ゲーム・チェンジャー・レスリング(GCW)はフロリダ州ファーンパークで『ジョーイ・ジャネラ スプリングブレイク』をプロデュースしました。第1回大会ではジョーイ・ジャネラはショーン・マイケルズとのタッグチーム「ザ・ロッカーズ」で活躍したマーティ・ジャネッティと対戦し勝利をおさめています。その後イベントはGCWにとって毎年レッスルマニアウィークでの恒例行事となりました。
その成功を受けて、GCWはアメリカ全土への進出を加速させ、2018年11月にはロサンゼルスで「To Live and Die in LA」と題した初の興行を開催しました。このイベントのメインイベントではGCW世界王座をかけて当時の王者ニック・ゲージがアレックス・コロンと対戦しました。試合はニック・ゲージが勝利して見事防衛に成功しました。
2018年4月、GCWはマット・リドルと提携して、プロレスと総合格闘技の要素を融合させた「Matt Riddle’s Bloodsport」を開催しました。
第1回大会のメインではロウ・キーとマット・リドルが対戦予定でしたが、ロウ・キーが欠場したことにより、マット・リドル vs 鈴木みのるに変更になりました。試合は鈴木みのるが勝利をあげました。
このBloodsportのコンセプトは好評を博し、2019年にはジョシュ・バーネットとの提携のもとでさらに2回の「Bloodsport」イベントが開催されました。
2019年:初の日本大会を開催
2019年8月には、GCWは初の日本ツアー(8月22日~23日)を新木場1stリングで実施しました。初日『GCW Worst Behavior 2019』ではアレックス・コロンと竹田誠志が対戦、アレックス・コロンが勝利をおさめました。
2日目の『GCW The New Face Of War 2019』では、葛西 純とジー・レイバーが対戦、葛西 純が勝利をおさめました。アメリカの注目団体が初来日するとあって、2日間ともチケットはソールドアウトし日本での知名度の高さを証明しました。
2020年:IWTVに契約違反で提訴される
2020年12月、ゲーム・チェンジャー・レスリング(GCW)はストリーミングプラットフォームのインディペンデント・レスリングTV(IWTV)との提携を解消し、そのコンテンツをFITE TV(現在のtriller tv)に移行しました。そのことにより2021年に、IWTVが契約違反でGCWを提訴しました。
IWTVは、GCWがFITE TVでイベントを配信し始めたことが、両者間の独占的配信契約に違反すると主張しました。訴訟では、GCWが行ったとされる36のペイパービューイベントによってIWTVが約500,000ドル以上の損害を受けたとされています。
最終的には、IWTVとGCWの間で和解が成立しました。和解の一環として、GCWは「The Settlement Series」と呼ばれる8つのライブイベントをIWTVのために提供することになりました。
Game Changer Wrestlingは、IWTVとの間で訴訟に終止符を打つ和解合意に至ったことを発表します。
この合意はGCWにとって重要なマイルストーンとなりますが、最も重要なことはINDEPENDENT WRESTLINGとそのファンにとっての勝利となることです。
この合意はまた、GCWがゲームチェンジャー・レスリング、ジャージー・チャンピオンシップ・レスリング、LAファイツの全イベントを含む我々の拡張ライブラリーの唯一の所有者であるという我々の長年の信念を確認するものでもあります。
これはGCWのみならず、米国内外のすべての独立系プロレス・プロモーションにとって重要なことです。
さらに、この合意は、これまで私たちのコンテンツを活用する能力を制限していた障害を取り除き、2022年以降に「ゲームを変える」野心的な計画を前進させる道を開くものです。
最も重要なことは、この和解により、私たちはすべての努力と資源を、重要なこと…急速に成長する世界中のファンのために可能な限り最高の製品を生産し、提供することに集中することができるということです。
最後に、この合意はIWTVとの関係の終結を定義するものですが、IWTVのプラットフォームでGCWを見るのが最後というわけではありません。この取り決めの一環として、GCWはIWTVに「和解シリーズ」を提供し、来年にかけて8つのライブイベントを開催します。今後数週間のうちに、これらのイベントの日程と詳細を発表することを楽しみにしています。
昨年は試練の年でした。中小企業である私たちのリソースは無限ではありません。訴訟は最後の手段でしたが、独立を確立するためには必要なステップでした。結局のところ、私たちはアリーナで成長するのであり、私たちのリソースは法廷ではなくリングに向けるのがベストなのだ。
このプロセスを耐え抜くことは、クルー、パフォーマー、そして最も重要な……ファンのサポートなしには不可能だっただろう。皆さんの忠誠心は揺るぎなく、私たちは共に歴史を作り続け、ゲームチェンジャー・レスリングとインディペンデント・レスリングの両方を新たな高みへと導いてきました。
2022年:GCWニューヨーク初進出でPPV放送を実施、ニック・ゲージと契約
2022年1月23日には、GCWがニューヨークのハマースタイン・ボールルームで『The Wrold on GCW 』と題したデビュー戦を開催。チケットはソールドアウトしました。
イベントはGCWにとって初のペイ・パー・ビューでの放送となりました。この大会には当時GCW世界王座を保持していたジョン・モクスリーやジェフ・ジャレット、ブリスコ・ブラザースが参戦しました。
2022年2月7日、GCWはニック・ゲイジと「GCWが提供する最初で唯一の契約」とされるものを結びました。GCWのブレット・ローダーデール・オーナーはこの契約について以下の様にコメント
「ニックにとってもGCWにとっても大きな節目となる瞬間だ。私はGCWで契約を結ぶことに反対してきたが、どんなルールにも例外はある。ニックは初日からスクエアード・サークルの中でファンのために体を張り、文字通り命をかけてきた。彼は、20年以上にわたるハードワークと犠牲に対して報われる権利があり、それを獲得してきた。この歴史的な契約はまさにそれを実現するものであり、彼の健康に有益なペースでリング上でのキャリアを継続することを可能にし、同時にキャリアの次の段階に向けた機会に集中し始めることを可能にする。ニック・F’N・ゲイジがいなければGCWはここまでの成功を収めることはできなかっただろうし、GCWがニックのキャリアの残りの期間、彼のホームであり続けることを誇りに思う」
2023年:2度の日本ツアーを実施。日本大会で後楽園ホールに初進出
2023年は7月と10月に日本ツアーを開催しました。7月は17~18日に新木場1stリングで2連戦を行いました。チケットは事前に完売し、初日『GCW The New Face Of War 2023 』のメインでは竹田 誠志がジョーイ・ジャネラとデスマッチで対戦し、竹田 誠志が勝利しました。
2日目『GCW Planet Death 2023』では葛西 純とジョン・ウェイン・マードックがデスマッチで対戦。葛西 純が勝利をおさめました。
10月は後楽園ホールに初進出。タイトルは「The Wrold on GCW 2023」ニューヨークのハマースタイン・ボールルームに進出した時と同様のタイトルになりました。
メインではGCWウルトラバイオレント王座戦で山下りながマーシャ・スラモビッチと対戦。山下りなが見事勝利し防衛に成功しました。セミファイナルでは葛西 純とジョーイ・ジャネラがデスマッチで対戦し、葛西 純が勝利をおさめました。なお、この大会にはAAAからエル・イホデル・ビギンゴが特別参戦しました。
2024年:ブレイク・クリスチャンがBEST OF THE SUPER Jr.31にエントリー / DDTとの合同興行と単独2連戦の日本ツアーを実施。
4月に当時GCW世界王座を保持していたブレイク・クリスチャンが新日本プロレスが主催するBEST OF THE SUPER Jr.31にエントリーされる。当初4連勝で首位に躍り出るも最終的には5勝4敗の成績で予選ブロックを突破できませんでした。
このリーグ戦参戦中に、当時GCWのGMに就任したマット・カルドナにより、ブレイク・クリスチャンが保持するGCW世界王座がはく奪されてしまう。その後6月2日に行われたGCW Cage Of Survival 3にて王座をかけたガントレット・オブ・サバイバル・マッチが行われマンス・ワーナーが王座を獲得した。
6月1日に行われたGCW Tournament Of Survival 9 でスレード、ブランドン・カーク、石川 勇希を破ったジョン・ウェイン・マードックが優勝を果たした。
GCW参戦選手
GCWが開催する主要なイベント
Jersey J-Cup(ジャージージェーカップ)(2月)
毎年2月に開催されるインディー団体の選手が参加するトーナメントです。トーナメント優勝者には、その年のジャージーJカップのトロフィーが授与されます。
The Collective(ザ・コレクティブ)(4月)
毎年春のいわゆるレッスルマニアウィークに開催される「The Collective」は、GCWが主催するプロレスのフェスティバルです。別名『裏レッスルマニア』と呼ばれるほど熱いイベントです。
このイベントは数日間にわたって開催され、GCWの看板イベントである「Joey Janela’s Spring Break」を含む複数のショーが行われます。世界中から集まったプロレスラーが様々なスタイルの試合を繰り広げ、GCWのイベントでも年間
Tournament Of Survival(トーナメントオブサバイバル)(6月)
「Tournament of Survival」は、GCWが初夏に開催するデスマッチトーナメントです。
このトーナメントは、世界中のデスマッチファイターが一堂に集結します。全試合デスマッチで行われる過激な試合内容で、デスマッチファンにとっては見逃せないイベントです。
NGI(ニック・ゲージ・インビテーショナル)(12月)
Nick Gage Invitationalは、ニック・ゲージがホストを務めるデスマッチトーナメントです。ニック・ゲージ自身も選手として参加することもあり、デスマッチファイターとして最前線で戦っている選手やあっと驚くような選手が参戦します。日本からも多数の参加があります。
GCW管理タイトル
- GCW World Championship / GCW世界王座
- JCW World Championship / JCW世界王座
- GCW Ultraviolent Championship / GCWウルトラバイオレント王座
- GCW Extreme Championship / GCWエクストリーム王座
- GCW Tag Team Championship / GCWタッグ王座